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概要

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26しても、この原爆ほど巨大な破壊と殺戮に比すべきものはない。 私は幸運なことに生きている。しかしその反面、わずか数カ月の間ではあったが、机を並べて学び、諸事困難な時勢の中で共に生活し、疎開作業に汗を流した学友達の不幸な死を、決して忘れることはできない。 そして、二度とこのような残忍極まりない悲劇を繰り返してはならないことを念じている。五十三回機械科卒 手記 久保田貞昭県工寄宿舎の思い出坂本 信義 平成八年の暮れに「原爆ドーム」が、ユネスコの世界遺産リストへ登録されたことを、報道で大きく伝えていた。被爆後半世紀、ヒロシマは原爆のもたらす惨禍と悲惨さを世界に訴えてきた。「原爆ドーム」が人類共通の財産として認められたことは、核兵器の廃絶と世界平和へ、新たな一歩を踏み出すことになり、大変喜ばしいことである。原爆体験の継承が年月の経過とともに、だんだんと風化し、忘却されようとしている時、「原爆ドーム」が何時までも、あの日の「生き証人」として保存され、平和への象徴として、いつまでも建ち続けて欲しいものである。 原爆に遭遇し、戦時下の生活を体験した者は、ドームを見るたびに、あの時と、あの忌まわしい光景が