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概要

gakuto

244た。 みいくさに召されて行きし我が君を     守らせ給へとたた祈るらん 武人の雄々しき御姿偲びつつ     今日も君が基地ふり仰ぐかな                    まさ子 一枚の便箋の達筆な姉の字を父はじっと見つめ涙をボロボロ流していました。やっと父のもとに帰って来た姉の遺品、父の胸中はどんな思いだったことか。 肉親を失い、身は傷つき夢も希望もなくした動員学徒にも障害年金を、と国へ訴えました。国の命令で作業に行き原爆に会い、結婚も就職も出来ず、病いの床に伏している学徒。兵隊さんは軍隊に行っただけで元気な人でも、軍人恩給がいただける。会員を募って動員学徒の会を作り国会に請願に行きました。多くの議員さんの前で勇気を出して学徒の窮状を訴えました。昭和三十二年準軍属として傷害年金が出るようになった時は、みんな大喜びしました。遺族の方には遺族年金が支給されるようになり、今でも遺族の方々から感謝され、学徒の方々からも老後も安心して暮せると喜んで下さっています。 振り返って見れば大へんな人生だった、よくここまでがんばって来れたと我ながら思います。多くの方々の励ましのお陰だと感謝でいっぱいです。二度と戦争のない世界を作るためにも戦争の悲惨さを、今の平和がどれほど多くの人の命の犠牲を拂って出来たものか、生きたくても生きることの出来なかった学友達の無念さを決して忘れないでほしい。戦争を人間がやるのなら平和も人間が築く、皆んなが幸せな人生を送れるようこの平和を守って次の世代にバトンタッチしてほしいと語り部の一員に加えていただき子供達に訴えています。 平和学習にこられた生徒さんに私は五円玉で亀を作り、子供達に「五円玉は皆さんにお会いした御縁、亀は動物の中でも一番長生きをします。戦争さえなかったら百才までも生きられる世の中になりました。亀を