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概要

gakuto

196だったらしい。原爆は本来人類には無用なものでなくてはならない。何故ならそれは非人道的な愚器だからである。戦争や原爆、そしてカラス雨によってある者は人生を断たれ、ある者はその後の運命を大きく変えられた。自分の意志とは無関係に。この事を考える度に私は戦争は二度と起こしてはいけないという強い思いを新たにします。 日本は唯一の被爆国でありますが、その被爆の凄まじさは少しずつ風化していくのではと危惧しています。何よりも今ある日常は人として生れながら、成すべきことを成さずして死んでいった人々の上にこそあるのだという事実を、戦争を知らない世代の人にも真摯に受けとめて戴きたいと思います。そして失われた多くの魂よ、どうぞ清らかな世界で移りゆくこの世を御見守りください。合掌 (当時中学二年 日本製鋼西高屋工場先遣隊)あの日、あの時谷尾  励 あの忘れることのできない五十年前の昭和二十年八月六日、日射しのきつい朝、私達中学二年生は、八時に現市庁舎南側に集合した。朝礼の後、市庁舎周辺の建物疎開家屋の整理のための勤労奉仕で、私はその中の廃材の焼却を命ぜられ、作業を始めてまもなくのことである。B29エノラゲイ一機が上空に飛来、何気なく機影を求めて空を見上げたら、太陽の光線があたり光って眩しいばかりの円筒型の一個の物体が落下、それを見た瞬間、目の前に無数の青白い閃光が走ったと同時に、あたり一面が真っ暗くなった。恐らくキノコ雲の中に入ったのであろう。瞬時私は身体が熱く感じたので、近くにあった大きい防火用水池に飛び込んだ。数分後、徐々に明るくなってきて、辺りを見る