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概要

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7 小さき骨を拾いぬ間ほど、毎日暑いのに朝早くから探しましたが、……とうとう見付からないままの、今日です。 振り返ってみても仕方のないことですが、私の命の有る限り、忘れることは出来ない、大惨事です。せい一杯思い出して書きました。一字でも、平和のために参考になれば幸いです。機械科一年宮下 郁男さん 手記 父 宮下 仁三小さき骨を拾いぬ加川イツ子 昭和二十年四月、戦争の激化につれて、勉強のできる時代とは思えなかったが、工業の機械科を希望した弟は、待望の工業の機械科に入学できて、張り切っていました。学生服も当時の国民服で、足には活動の出来やすいゲートルを巻き、学生らしくない服装でした。勉強のできたのは短い期間だったと思います。 広島は陸軍の聯隊があり、軍都と呼ばれ、空襲の危険が多く、火災の防止のために建物の疎開作業が始まり、学童も動員が行われました。中学一年の弟も当然動員されて、広島の中心地である町の疎開作業に出ました。▼昭和二十年八月六日▲ 原爆投下の朝、弟は連日の疲れか、朝から鼻血が止