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概要

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136が狂ったように身をもだえて苦しんでいた。似島に着いて丁寧に治療を受け、ここで五日間、私の一生忘れることのできない生活が始まったのである。板の間に筵を敷き、その上に毛布を一枚敷いて雑魚寝である。あっちこっちにも次々に死んで行く人々。それが毎日で、死人と生きている人との区別がつかないほどである。 二日目のことである。隣に寝ていたお姉さんらしい人が、今にも息を引き取ろうとしたとき、ただ一言「お母さん」と言って死んでいかれた。ちょうどその時、一人の婦人が入って来られた。その人のお母さんであった。「お母さんは、あなたをこれまでずっと捜しましたのよ。早く来てあげればよかったのね。少し遅かったのね」と、死骸に取りすがって泣いていらっしゃった。皆もらい泣きをした。私も早く父母や兄に会いたい。家に帰りたい。一刻も早くと思っても、どうすることもできなかった。 五日目の昼過ぎ、突然、私の名を呼ぶ声に目を開けた。あ、お父様、幾日ぶりにお会いできたのかしら。目から涙が流れた。父も男泣きに泣いて、その間、一言も口をきくことができない。ただ、「よかった」「よかった」と泣くばかりである。この時、父と、もし巡り会うことができなかったら、一体どうなったろう? 今思ってもゾッとするのである。二〇〇一年十月十七日永眠(旧姓升岡)高女五十六回、故人