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概要

gakuto

130たとのことです。 島へも大勢負傷者を運んでいましたから、島へも行ってみたそうですが、どこにも私らしい者は見つからず、学校で死んだのかも知れないと、母とそうした話で明け暮れしていた四日後、見るも無惨な姿になった私でしたが、ともかく生還できたことがとてもうれしい様子でした。 翌日、楽々園で軍隊の救護所ができているとのことで、私も手当てのために行きました。消毒して赤チンを塗るだけのことでしたが、右の頬にも深い切り傷があるのを見て、縫っておいた方が傷跡が小さくなって将来のためにいいだろうと、三針縫合してくださいましたが、やはり麻酔なしでした。 その後、日数が経過すると、少しずつ顔の腫れは引いてきましたが、上唇の上、つまり鼻孔の辺りの腫れが引かないので、そっと押してみると痛いので、唇をめくってみるとガラスらしいものが見えたので、自分でピンセットで取り出したら、三角のガラスの破片が三個出ました。上唇の裏と歯茎とをつないでいる所が、ガラスで切れていました。ガラス破片を取り出してから腫れが引き、やっと元の顔らしくなってきましたが、左の髪の生え際が縫合されているのに、度々出血を繰り返すようになりました。初めは包帯ににじむくらいだったのが、朝シーツに血だまりができるほどとなり、押さえても止まらなくなって、近くの女医さんを近所のおじさんが連れて来てくださり、先生は静脈の血管が切れているのに皮膚だけが縫ってあったのだと言われました。母に絹糸の用意を命じ、急いで縫合用の針を取りに帰られている間、そばにあった浴衣で出血部分を母が押さえていましたが、手が震えて位置がずれてくるのです。それを母に教えて上げるくらい、私自身は落ち着いていました。私のために騒動している様子が全部分かっているのですが、とても気持ちがよく、小さな花が咲いている草原に横たわっている私自身が見えるという不思議な体験をしました。 この時もやはり麻酔なしで、また三針の縫合でしたが、この三回目は意識もうろうでしたから、痛みを感じませんでした。真っ赤に血で染まった浴衣を母は川