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概要

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95 わたしが見たものいのを引きずりながら一生懸命、白島町の家を目ざして歩きました。すると大河小学校で「火傷の治療をしてあげるから来なさい」と婦人会の人に言われ行きましたところ、油のようなものをつけて浴衣をさいた包帯をして下さいました。すると自分はほんとうに大火傷をしているんだ。こんなにいっぱい包帯をしてみると、自分の肌は見るところ全部柄の入った包帯で、まるで手も足も動かすところの間接も包帯で、歩くこともできませんでした。兵隊さんが学校の教室までおんぶして下さいました。それから一歩も歩くこともできず、ただ、お母ちゃん、お母ちゃんと泣きました。水、水と言っても誰も下さる人もありませんでした。夜中に余り大きな声を出すので、また兵隊さんが外に机を並べて毛布を敷き、そこへ寝かせて下さいました。 私の住所と名前を黒板に書いて、私は安心してこんすい状態に入ったのでしょう。一夜明けて、父が美佐ちゃん、美佐ちゃんと呼んでいるので目をさましました。父が迎えに来てくれました。ほんとうに嬉しくて、早く帰って涼しい所で寝ようと思いました。「家は焼けていない。お母ちゃんもお姉ちゃんもみな元気でいる。」と安心させてくれました。夕方涼しくなって迎えに来るから、もう少し我慢して寝ているように言われ、帰って行きました。あとで父が申しますには、焼けた大八車を引っぱって白島から大河町まで駆け足で来たそうです。帰りももう駄目か、もう駄目かと思ったと申します。大きな声でうたい、大きな声で笑い、まるで気の狂った子供を連れて帰るようだったそうであります。私も安心したのでしょう。いま思えばそんなことは覚えていません。家は全部焼け、母の傷は少しでしたけど、姉は大きなけがをして歩くことができない程でした。帰って寝ようと思っていたのは夢でした。トタン屋根に焼けた木を敷き、その上で父がずっと看病をしてくれました。しかし、また空襲でも来たらいけないので、田舎の方へ逃げて行きました。その間、学校では死亡となっていました。 頭の毛は全部なくなり、まるでお岩のような顔をして三か月間、油一升と硼酸一袋で火傷もよくなり、お