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概要

gakuto

90新たにせざるを得ない感無量のこの頃である。折に触れ、娘には地獄のさまを語り聞かしてきたが、なぜだか語り得ない、同級生の生々しい悲しい光景はいつまでも私の胸の奥にしまったままである。 ただ単に、憎しみを持ち続けることで死者をつぐなうことはできないし、人類の平和をもたらすことはできない。 苦痛であるけれども、あえて苛酷な体験を記し、広島の惨禍を知らない人々に、忘れ去ってはならないこの事実を伝えたい。八田 恵子(当時高女二年)「助けて」の声を後に竹内 園子 その当時の私たちの仕事は、建物疎開で倒した家の整理でした。私が家を出たのは七時過ぎであったでしょう。学校に集まって指示を受けたあと、学年全員が隊列を組んで作業現場に向かいました。途中みんなで歩きながら歌をうたって、今の国泰寺高校のあたりに荷物を置いて作業にとりかかりました。その日の私たちの仕事は雑魚場町で倒した家の瓦はぎでした。「この辺に二階建ての家があったらいいのにねー。」と話しながら友達と瓦をはいでいると、突然、白いものがパァッと私の方へ飛び込んできて、何かが破裂したような感じでした。キャーと言ったのまでは覚えていますが、ドカンという音は全然記憶にありません。